2016年8月31日水曜日

LEICA DG 100-400mm/F4.0-6.3 レビュー Ⅳ


(9月4日、赤字の連写撮影を追加しました。あたり前になっている事なので、記載することを忘れていました。)

LEICA DG 100-400mm/F4.0-6.3について、一部に公平ではない意図的な悪い評価があったように見受けられた。それも、下火になったきたように思う。このレンズについて、悪い印象を持つ理由は、望遠端の開放F値が6.3であるからかもしれない。

一般に、F値が小さいレンズほど、よいレンズだとの認識が広まっているので、そこに原因している面もある。しかし、よく考えて欲しい。35mm換算で800mmのレンズである。手持ちで撮影できるという実用性を重視して採用されたF6.3である。悪いイメージを持っている人は、しっかり写りを見てから判断してほしい。

『アオサギ』

『アオサギ拡大』
(画像は、クリックすると横幅800ピクセルで表示されます。)

では、レビューⅣを書きたい。
このレンズを手にしてから、難易度の高い手持ちでファインダーを覗きながら、野鳥の飛翔シーンを撮ることをやってきた。一応、ゆっくり飛ぶ大型のサギ類は、かなりの確率で撮ることが出来るようになってきた。自分なりのコツも分ってきたところだ。

前回の最後にカメラの設定について書いた。しかし、幾つか書き出すのを忘れていたので、もう一度整理して書き出してみた。これを元に、少し詳しく説明したい(カメラはGX8)。

〇露出プログラムは、SS優先
〇連写撮影速度は、中速(M)
〇AFは、AFC
〇オートフォーカスモードは、1点
〇シャッター半押しAFをON、シャッター半押しレリーズはOFF
〇フォーカス/レリーズ優先は、フォーカス
〇クイックAF、アイセンサーAFは共にOFF

◆露出プログラム

書いていなくても、お分かりのとおり、動体を撮るのでSS優先の方が使いやすい。飛翔シーンの撮影に慣れていないなら、できるだけ高速のSSで撮るほうが安全である。当初は、1/2000以上で撮ってみよう。慣れてくると、羽などに自然なブレを入れたくなる。その場合は、1/1000以下で自分の好みのSS値を見つけて欲しい。

◆連写撮影速度

連写には、低速、中速、高速がある。ファインダー撮りでは、中速(M)を使おう。かつて、EVFで連写すると、ファインダー内はブラックアウトして被写体を見ることができなかった。EVFの最大の弱点だと言われたものだが、LUMIX機では今や中速(M)ならブラックアウトしない。GX8で6枚/秒、GH4で7枚/秒もの速度で、被写体を見ながら連写できるのである。しかもAFCで可能なのだ。

◆オートフォーカスの種類

GX8の動体を撮るAFには、AFFとAFCがある。飛翔シーンは、AFCで撮っているが、AFFでも試したところ、大きな違いは見られなかった。AFCを使っている理由は、一般的に動体を撮るAFだからという程度なので、個々人が試して使いやすい方を選択して欲しい。

なお、AFFとAFCは弱点もあるので、理解しておく必要がある。たとえば、背景がキラキラ光る場面や滝のような水の流れがあると、AFがいつまでも状況判断に戸惑い、合焦しないのである。こういう場面では、AFSしか合焦しないので知っておきたい。何度かこうした場面に遭遇し、カメラが壊れたのではないかと思うことがあった。この現象は、一眼レフの位相差AFでも起こるので、ミラーレス機の弱点ではない事も知っておこう。

◆オートフォーカスモード

オートフォーカスモードは、GX8には5種類ある。私の場合は、1点AFがメインである。被写体によってAF枠の大きさを調整しながら使っている。AF枠が大きいと、撮影は楽だが、AFが背後に抜ける確率が高くなるので要注意だ。AF枠は、小さいほどよいのだが、撮影が難しくなるので、練習しながら、上達度に合わせて、AF枠を調整して欲しい。

ただし、コントラストAFは、コントラストの低い青空や曇り空には、AFが反応しないので、空を背景に飛ぶ野鳥なら、AF枠を大きくしても上手く撮れる。この辺の見極めは、自分自身でやるしかない。

◆シャッターのレリーズ

シャッターのタイムラグを防ぐには、シャッター半押しレリーズをONにする方がよい。しかし、ファインダー内で野鳥を見失った場合、戻しが効かなくなる。親指AFを使う方法もあるが、GX8の親指AFを設定できるボタンの位置がよくないので、使いずらい。ファインダーを覗かず、照準器で撮影するなら、ONにすべきだと思う。

ファインダーを覗いて撮るなら、通常どおりシャッター半押しAFをON、シャッター半押しレリーズをOFFで使うことを勧めたい。この方が、ファインダー内で野鳥を見失った場合、何度も半押しを繰り返せるので、野鳥を捉え易いのだ。

タイムラグはどうするかというと、半押しAFで野鳥を捉えたら、連写しながら野鳥の動きに合わせて、そのまま追い続けることである。半押しで撮る場合、出会い頭的に点で捉えると、タイムラグが発生する。半押しAFを維持したまま、野鳥を追い続けて連写することで、捉え方が点から線になり、タイムラグを減らすことができると思うのである。

この際、前回書いた正しいカメラの構え方、振り方が必要になってくる。もう一度前回のレビューを読んで確認して欲しい。

◆フォーカス/レリーズ優先

カメラの取扱説明書を見ると、動体予測AFで撮るには、フォーカス/レリーズ優先は、レリーズ優先に設定するよう記載がある。ところが、その設定で何度か試したところ、ピントが甘くなる傾向があった。鉄道撮影などで、等速で近づいて来るものに適しているように思うので、野鳥撮りでは、フォーカス優先の方がよいと思う。

◆他のAF設定は、すべてOFF

GX8には、クイックAFやアイセンサーAFの設定項目がある。じっくり撮る撮影ならONでよいが、野鳥撮りには、役立たないのでOFFにしておこう。

◆両眼視について

ファインダー撮りでは、よく両眼視することが言われる。私も前回取り上げてはいるが、実はかなり右目だけで見ている事が多い。両眼は開ける方が感覚が掴みやすいので、開けるべきだが、私は左右の目を使い分けていない。不器用なこともあり、左目で全体を見て、右目で捉えるような器用なことは、やっていない。

このことは、個人差があるので一概には言えない。それぞれが自分に合った方法をマスターして欲しい。私の場合、目標を見失なった場合は、ファインダーを覗くのを止め、肉眼でレンズの延長戦に目標を探し、再度ファオンダーを覗くようにしている。また、何度もシャッターの半押しをやってファインダー内で目標を捉えることも多い。

◆その他

撮影した飛翔シーンは、ピクセル等倍にして、ピントを確認してほしい。飛翔シーンなので、きっちりピントを合わせることは難しい面あるのだが、あまり安易な妥協はせず、自分で納得できるまで追求して欲しい。

なお、このレンズにはフォーカススイッチがある。「FULL/LIMIT」を状況に合わせて使い分けたい。野鳥撮りなら5m以上離れているだろうから「LIMIT」に設定しよう。AFの速度が間違いなくアップする。昆虫などをマクロ的に撮影するなら「FULL」にしよう。近づいて撮影ができるようになる。状況に応じて、切り替えることを忘れないようにしたい。

以上、現段階で私が野鳥の飛翔シーンを、手持ちでファインダーを覗きながら撮るときのポイントのようなことを書いてみた。間違いなくこのレンズは、一級品だと思う。能力を引き出せるかどうかは、撮影者の腕次第である。

私は、撮影に出掛けるとき、このレンズを常時バックに入れて持ち出している。それでも大きさ、重さ共に全く苦にならない。800mmの超望遠レンズを常時持ち出せるとは、夢のようである。最後に、撮影した飛翔シーンをまとめて掲載しておこう。

(画像は、クリックすると横幅800ピクセルで表示されます。)

『アオサギの着地体勢』


『アオサギの着地体勢(拡大)』


『シラサギの飛翔 1』


『シラサギの飛翔 1 (拡大)』


『シラサギの飛翔 2 』


『シラサギの飛翔 2 (拡大)』


『シラサギの飛翔 3 』
『シラサギの飛翔 3 (拡大)



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