2017年1月29日日曜日

LUMIX DMC LX9 レビュー Ⅱ


LX9のレビューを連続して書く予定が、LUMIXやFUJIFILMの新製品が一気に発表されたので、いろいろチェックしているうちに、遅くなってしまった。

LX9を購入してから、一月以上経過する。この間、撮影に出かける時には、必ずケースのカナビラでズボンに付け持ち出している。機能を確認するために撮った作例をアップしてレビューとしたい。(アップ写真は、クリックで800ピクセルまで拡大できる。)


始めにLX9にTX1用の張り革をした写真と、ケースをアップしておこう。張り革は、滑り止めとボディ保護の目的でやってみたものの、素の方がシンプルかもしれない。

『張り革したボディ』

『ケース』


TX1用のものを少し加工して張ったが、細部が異なるので合わない箇所がある。張るなら、専用のものが発売されるまで待った方がいいだろう。ケースは、当初LF1で使っていたものに入れていたが、窮屈だったのでハクバ製のものを購入した。カナビラが付いているので、ズボンのベルトループにかけて使っている。


LX9で気になるのは、やはりF1.4はどれだけボケるのかと言うことだろう。広角24mmでF1.4でマクロ撮影の例をアップしてみた。

『南天の実と雫(24mmF1.4)』


『ベンチの水滴 (24mmF1.4)』



南天の実の方は、最大(3㎝)まで寄っていない。ベンチの方は、ほぼ最大(3㎝)まで寄っている。一眼のマクロレンズには、適わないものの、手早くマクロ撮影できるので重宝する。


LX9のセンサは、1インチ。面積は、4/3センサの半分である。しかし、なかなか侮れない実力を持っている。私個人の感覚では、高感度は4/3より半段~1段程度劣るくらいだろうと思う。アップ写真は、800ピクセルなのでノイズやディティールの確認が難しいと思う。それだけよく写るのだと理解して欲しい。元画像で見ると、ある程度の低照度でもISO3200は使えると思う。

『ISO1600』


『ISO3200』


『ISO6400』


『ISO12800』



ノイズはISO6400でもかなり少ない。しかし、等倍比較すると、やはりディティールが損なわれている。作品撮りならISO3200までに抑えた方がいいだろう。


4Kフォト機能を使ったフォーカスセレクトとフォーカス合成は、なかなか面白い。少し説明しておくと、フォーカスセレクトは、4Kフォトの連写で画面内全体を順次撮影し、気に入ったAFポイントを選択するもの。フォーカス合成は、フォーカスセレクトで撮ったデータを元に、カメラ内で画面全体にピントが合っている画像を生成する機能である。本当は、三脚に固定して撮るべきだろうが、作例は手持ちで撮ったもの。手持ちでも結構使える。

『フォーカスセレクト(AFは前)』


『フォーカス合成』


『フォーカスセレクト(AFは前)』


『フォーカス合成』

4Kフォト機能は、Panasonicのお家芸であり、新機種には順次搭載されている。4Kフォトについて、一部に動画からの切り出しだとして嫌う人もいるが、もはや避けられない時代であることを認識すべきだ。カメラはデジタルになって、静止画と動画の境が無くなる道を進んできたのであり、この事実を受け止めるべきなのだ。

動画が高画素化すれば、当然そこから静止画が得られる。逆に、静止画を高速連写すれば動画になるのだ。なんら可笑しくない。4Kフォトは、動画の機能を使った高速連写なのである。


LX9のレンズは、光学24mm~72mmだが、iAズームを使うと倍の144mmまで伸ばせる。ピクセル等倍では厳しいものの、通常の利用なら何ら問題ない画質である。

『iAズーム(144mm)』


『iAズーム(144mm)』



なお、この他にEXズームやデジタルズーム(4倍)も備えている。EXズームは、画素数は減るものの、画質が劣化しないズーム画像が得られる。約500万画素で、6倍(144mm)の画像になる。これも実用性が高い機能である。


LX9は、マクロから風景撮りまで幅広く使えるカメラである。中でも、目の前の一瞬を撮るスナップに最適だ。ポケットに入れて持ち歩き、撮りたいとき、さーっと出してシャッターを押しても、周囲の雰囲気を壊さない。スマホ以上に軽快である。

適度な大きさ、重さ、高級感、明るいレンズ、LUMIX一眼と同じ操作性が、使うたびに持つ喜びを、味合わせてくれる。素晴らしいカメラである。

最後に、通常の作例を挙げてレビューを終わりたい。

『夜の横断歩道』

『暮れゆく頃』


『丘の習わし』


『交差点の日常』




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2017年1月9日月曜日

LUMIXの新たな挑戦!


  • DC GH5発表
Panasonicは、1月4日にアメリカで予定どおりLUMIX DC GH5を初めとする新製品を一気に発表した。この発表の中で、世界的に最も注目されているのは、フォトキナ2016で開発発表していたGH5である。現行機GH4からの進化ぶりは、すでにフォトキナ2016で発表されていたとおりで、動画4K/60Pや6Kフォト機能が搭載されている。

『GH5 正面』


『GH5 背面』



特に、GH5はプロ使用を前提としており、動画の仕様は、他社一眼動画を寄せ付けないものになっている。これまで静止画中心にGH4を使ってきた者としては、静止画の進化が気になるものの、動画ばかりが注目されるので、動画を真面目に勉強すべきかと思ってしまう。静止画は話題にもなっていないが、動画がよければ静止画の画質だって悪くないだろうと思う。

GH5の主な仕様を書き出すと以下のとおりだ。

■DC GH5
・センサー:GH5専用に開発、有効画素数2030万画素、大きさ17.3 x 13.0 mm
・フィルター:ローパスフィルターレス
・動画:4K/30p(4:2:2/10bit記録)、4K/60p(4:2:0/8bit記録)
・6Kフォト:約1800万画素秒間30コマの静止画
・連写:高速12枚/秒(AFS)、9枚/秒(AFF/AFC)
・EVF:368万ドット有機EL(0.76倍)
・手ぶれ補正:カメラ内蔵、5軸手ブレ補正システムDual I.S.2
・AF:DFD技術の進化で、さらに高性能になった空間認識AF
・海外発売予定日:2017年3月末
・海外価格:ボディのみ1999ドル
・ボディ寸法/重量:138.5×98.1×87.4mm/約 725g(電池等含む)

残念ながら、GH4と比べると、大きさも重量も増している。また、内臓フラッシュも搭載されていない。これは、4K動画(フル画素撮影)と6Kフォト(ドットbyドット)の排熱処理のためだと言う。静止画の撮影と異なり、動画では、センサーとエンジンが連続で動き続ける。よって、静止画では想像もできない熱が発生するのだ。ある意味、この大きさでよく抑えたものだと思う。これまで、この排熱を最も上手く処理してきたPnasonicだからこそ、完成したカメラと言えよう。

  • DC GF9
この日、発表されたカメラは、GH5だけではなく、FZ80/FZ82(海外名)、GF9(日本名)も発表された。GH5の日本での発売は未定(たぶん3月下旬)だが、GF9は、日本でも今月19日から、販売するという。ただし、本体だけの販売はなく、ダブルレンズキットだけである。このGF9はなかなかカッコいい。写真を見た瞬間、一目惚れしてしまった。だが、先月LX9を買ったばかりなので、買うことはできない(買えない)。

『GF9 正面』


『GF9 背面』


GF9は、トップにかなり大きな段差を設けたデザインになっている。これがなかなかカッコよく見えるのだ。大きさの割には、段差が大きいものの、上手く収まっていると思う。

では、GF9の主な仕様を書き出してみよう。

■DC GF9
・センサー:16M Live MOSセンサー
・フィルター:ローパスフィルターレス
・動画:4K/30p
・4Kフォト:約800万画素秒間30コマの静止画、4Kセルフィ
・連写:高速10枚/秒(AFS)、6枚/秒(AFF/AFC)
・手ぶれ補正:ボディ内はなし、レンズ補正のみ
・メモリーカード:microSDHC
・AF:空間認識AF
・付属レンズ:G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6とG 25mm/F1.7の2本
・発売予定日:2017年1月19日
・価格:87,360円(レンズセット、1/9価格COM)
・ボディ寸法/重量:106.5x64.6x33.3 mm/約269g(電池等含む)

GF9は、ボディ単体の販売がない。サブ的に欲しい人は、セットで買って、もし付属レンズが所有レンズとダブルなら、売却する方が賢明だろう。先々には、何とかボディ単体での販売もお願いしたいところだ。

  • LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0
この他、GH5とセット販売が予想されるLEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 も発表された。

『側 面』

『斜め正面』



概要は次のとおりだ。

■LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0
・絞り開放値:F2.8~F4.0のライカズームレンズの新シリーズ
・レンズ構成:4枚の非球面レンズと2枚のEDレンズを含む、12群14枚のレンズで構成
・海外発売予定日:2017年3月下旬
・海外価格:999ドル

これまで、Pnasonicが発売する4/3用のLEICAレンズは、すべて単焦点レンズだった。今回発売されるこのLEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0が、4/3用初のLEICAズームレンズとなる。今後もこの流れは、加速していくだろう。

  • その他の更新レンズ
レンズは、更に下記の4本がリニューアルすると発表されている。Dual I.S.2と高速駆動へ対応するためのリニューアルである。いずれも3月末までには、発売されそうだ。
〇LUMIX G X VARIO 12-35mm F2.8 II ASPH. POWER O.I.S.
〇LUMIX G X VARIO 35-100mm F2.8 II POWER O.I.S.
〇 LUMIX G VARIO 45-200mm F4.0-5.6 II POWER O.I.S.
〇LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 II POWER O.I.S.

  • 加速するLUMIX
さて、最後にPnasonicがLUMIXで今後取り組もうとしていることについて、記事があったので、紹介しておきたい。それは、1月5日にAV Watchの「大河原克行のデジタル家電 -最前線-」のインタビューが行われ、AVCネットワーク社イメージングネットワーク事業部・山根事業部長が答えた内容にあった。

記事URL
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/ce/1037593.html

簡単に要約すると
〇パナソニックのデジタルカメラ事業は、2017年4月の組織再編にあわせて、AVCネットワーク社からアプライアンス社に移管。新たな体制でLUMIX事業を加速させる。
〇GH5は、LUMIXが初めてプロフェッショナルをターゲットに開発した商品。今後プロカメラマンに対するサポート体制を構築していく。

と言うようなことが述べられている。これまでもLUMIXは、ミラーレス機を開発したり、4Kフォトを始めたりとデジカメ史に残る仕事をしてきた。これからは、GH5を筆頭に、いよいよプロの要求に応え、プロの仕事に応えるサポートまでもやって行くという宣言なのである。2017年は、LUMIXが新しい挑戦をする元年になりそうだ。

我々アマにとっても、こうしたLUMIXの挑戦は、良い製品、良いサービスとして、還元されるものと期待したい。